奈良県磯城郡田原本町 今里の蛇巻き(じゃまき) 〜昇り龍伝説〜 H22 6月6日(日)  毎年6月第一日曜旧暦端午の節句行事

麦わらで18メートルの蛇を模し、担いで村中全戸を「おめでとう」の掛け声で練り歩く儀式は、17歳の男子が大人の仲間入りをする農耕行事で、無形民俗文化財に指定されている

この日の為に作付けした裸麦を刈り取り、水で湿らせ扱いやすくした新麦ワラを3時間かけて、蛇の形にしてゆく。
力とコツが必要で、撚りながら三つ編の要領で頭(かしら)2メートルは口をあけた形

胴は縄を使ってワラを編み込みウロコを表現

頭をお堂にくくり付けて制作
全長18メートルの蛇が出来てゆく
神社の境内から数十メートルはみ出していた縄も編みこんで行くと丁度境内に収まった

わかめの味噌煮が振舞われる 水で戻したワカメを一まとめにし、もち米のワラ、「スエ」でくくり砂糖・味噌で30分煮込んだもの
長いワラの先にワカメの塊がくくられぶら下がっている状態で蛇をかたちどったものとも言われる
トトロがサツキにくれたお土産のような形!予想以上に美味しい 

幼稚園児から中学生、高校生の男子が村の年寄りや大人たちから受け継がれるこの行事は、人との係わり方や、男子たるもの…精神なども自然に学べる環境のようでした

村内巡行後、神社の榎に頭を上にして巻きつけ村の一年を見守る

昇り龍伝説
・むかしこの辺りに、龍がいて村人に悪さばかりして困らせていた。
通りかかりのお坊さんが、龍が嫌うしょうぶの葉を軒先に吊るすように教えると
キツイ匂いと、尖った葉が剣に見えたらしく、とうとう天に昇って逃げていった…
このことから、今里では頭を上に向けた形の祭り方をして「昇り龍」と呼ばれる

実はこの話には続きがあり
下り龍伝説
天に昇っていった龍は改心したらしく、隣の「鍵の村」では妖怪が村で暴れ村人を困らせていたのを
天から降りてきた龍がやっつけてくれた…

ということで、鍵では頭を下に向けた形の祭り方で「くだり龍」とよばれます
同じ日に行われる「鍵の蛇巻き」では、
蛇の形も、木に巻きつける向きも違っているのが面白いですね